ABARTH
アバルトは、創業者カルロ・アバルト(カール・アバルト)の並外れた情熱から始まりました。幼少期から機械やエンジンに強い関心を抱き、青年期にはサーキットと工房に没頭。レースとチューニングの世界に身を投じ、自らの手で数々の革新を生み出してきました。 第二次世界大戦後、レーサーとしての道を断たれた彼は、新たに起業家としての道を歩み始めます。1949年、財政破綻に陥ったチシタリアの失敗を乗り越え、「アバルト & C.」を設立。その名はやがて、“勝利と挑戦の象徴”として世界中に知られるようになります。 1950年代から60年代にかけては、まさにアバルトの黄金時代。自ら設計したスポーツカーやレーシングカーで次々と勝利を収め、「アバルト 750 GT」や「アバルト 500」などの小型モデルは一般層からも熱狂的に支持されました。人々は速さや力強さを称える際に「アバルトのようだ」と口にするほど、アバルトは文化的なアイコンへと成長していったのです。 アバルトの象徴である“サソリのエンブレム”には、カルロ・アバルトの星座が込められています。このサソリは、ただのロゴではありません。限界に挑戦し続ける精神、そして敗北を恐れず戦い抜く姿勢を象徴しています。 こうした歴史とスピリットは、現代のアバルト車にも脈々と受け継がれています。アバルトの車は、他とは一線を画すピュアな走りを提供します。コンパクトなボディに高出力エンジンを搭載し、過剰ともいえるチューニングとサウンドで、乗る者すべてに「本能的な興奮」を呼び起こします。ハンドルを握るたびに、鼓動が速まる。シフトを切るたびに、世界が変わる。そんなダイレクトな感覚こそが、アバルトの真骨頂です。 また、アバルトはパフォーマンスだけでなく、カスタマイズの楽しさやライフスタイルとしての所有感も重視しています。オーナー自身が“操る”ことにこだわり、愛着を持って仕上げていく一台は、まさに人生のパートナーと呼べる存在です。 現在ではフィアット傘下で復活を果たし、かつての伝統を受け継ぎながらも、現代的な進化を遂げたアバルト。サソリは再びその毒を研ぎ澄まし、次の時代へと走り出しています。 勝利のために生まれ、情熱によって進化し続ける。アバルトは、走りを心から愛するすべての人へ、その魂を届けています。